【 君がいる場所 】#03. 先輩の地元*

君がいる場所

#03.

男の人と2人で出かけるなんて久しぶりでドキドキが止まらなくーーー、
全く授業に集中できずに1日が終わった。

部活に向かう環を見送り、
明日の数学の宿題について双葉ちゃんやまどかちゃんと話をして私も学校を後にした。

いつもの道なりなのにいつも以上に緊張を招く。
周りを見渡すと友達同士だったり恋人同士、
私みたいに1人で帰っている人も見られた。
いつもは駅の改札に向かう私だけど、
この日は先輩との約束のために目的の図書館まで向かった。
案の定、先輩はまだ来ていなくて私は自習室の一つの席に座って明日までの宿題を終わらせてしまおうと思った。
「今、一年生は因数分解習ってんだ?」
「あっ、お疲れ様です!」
先輩が来たことで私は宿題をカバンにしまおうとした。
「宿題、数学だけ?」
「ーーーはい。」
「帰ってやるのもめんどうだろ?今終わらせちゃって良いよ。」
私の隣の席に座り携帯を見始めた先輩、
遠慮なく数学の宿題を終わらせてもらうことにした。
「あの・・・」
「終わった?」
「いえ・・・数学得意だったりしますか?」
「どこ?」
「最後の問題なんですけど・・・」
私の真横に顔を近づけて来た先輩、
慣れているのかもしれないけど私は心臓が飛び出しそうなほどドキドキした。
「あーー、これは・・・#×#×で・・・わかる?」
「あっ、分かりました!ありがとうございます!」
待たせてしまったことをお詫びして、
私は約束していた通りに先輩がいつも遊ぶ場所に連れて行ってもらうことした。

電車で乗り継ぐこと1回、学校から30分ほどの距離の電車を走り私たちは降車した。
「ここが地元で・・・普段部活ない日も基本的にはここ周辺で遊んでるかな。ダチと行くのは基本的にゲーセンかカラオケかボーリングだな。」
駅の商店街を通り抜けた奥の一角にあった古いゲームセンター。
そして、そこから少し進むとカラオケとボーリングが一体化されたビルが立ってる。
「結構栄えている街なんですね。」
「地元からは愛されてるよな。何かをするには困らない(笑)なっ、つまんないだろ?笑」
「そんなことはないですよ!」
「あっ、こっちに美味しいクレープ売ってんだわ。」
先輩は思い出したかのように私の腕を掴んで早歩きをした。

なんか・・・ーーー。
樹先輩って見た目や想像と全く逆の人かも、と思った。
見た目は背も高いしコワモテタイプだから一見人を寄せ付けないほど怖いけど顔立ちがすごく綺麗だからモテるのは分かる。
そんなイメージだったから、
一緒にいても無言が続くもんだと思っていたし、
すぐに解散するもんだと思ってた。
「どう?うまいだろ?」
「はい!おいひぃです・・・」
「言えてねえし(笑)」
でも実際は・・・
よく話すまでは行かないけど一緒にいて全然飽きのない人だと思った。
隣に歩いているのが心地よいと思った、が正解かな。
よく話すタイプではないだろうけど無言でもなく、
私を飽きさせないためなのか色んな話をしてくれる。
ーーーとにかく一緒にいて楽しい。

「今日はありがとうございました!最初どうなるかと思いましたけど、すごく楽しかったです!これも、ありがとうございました!」
結局私たちはゲームセンターで少し遊んで、
可愛いユニコーンのぬいぐるみが取れなくて苦戦していたら先輩がいとも簡単に取ってくれた。
「楽しんでもらえたなら良かったよ。こんな地元で良ければいつでも(笑)ーーー柊さんはどこに住んでるの?送るよ。」
「いえいえ!私は学校からすぐ近くなので、二度手間になるので大丈夫です!」
「大丈夫だけど・・・笑」
「本当に!本当に大丈夫ですから!もう十分たくさんしてもらったので本当に大丈夫です!」
「そこまで言うなら・・・(笑)これでゼロってことで(笑)」
「はい、ありがとうございました。」
私は最後にもう一度だけお礼を言って電車に乗った。
ーーー先輩は改札で私が見えなくなるまで見送ってくれた。

今日一つ思ったことがある。
こりゃ先輩の彼女になれた人は幸せだなぁと思った。
改札で見送ってくれるとか、宿題教えてくれるとか、クレープを払ってくれていたりとか欲しいぬいぐるみを取ってくれたりとか・・・。
この2時間でドキドキしたんだから、
先輩の彼女はきっと隣でずっとドキドキしっぱなしだと思う。
ーーー顔も良し頭もよし、スポーツもできる。
性格も実は明るくて優しい人・・・。
欠点なんて一つもない人、正直にそう思った。

帰宅した私はいつものようにご飯を作り、
明日のお弁当の下準備。
ーーー今日は気分が良いから唐揚げでも作ろうかな。
オール電化の火の調整が何度やっても慣れないけど、
今日は上手くできた気がするーーー。

久しぶりの充実した時間、
その夜、私はぐっすりと眠ることが出来た。

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